病気の名前 その由来は?

病名や症候群として、物語などの主人公の名前が使われることがあります。例えば、発達障害の子どもにみられる注意欠陥・多動性障害などの症状は、「のび太ジャイアン症候群」と呼ばれることがあります。ドラえもんに登場するのび太やジャイアンの行動パターンと似ていることから付けられた名前です。

また、物の大きさが実際より大きく感じたり、小さく見えたり、遠く感じたりするなどの知覚異常が起こった状態は「不思議の国のアリス症候群」と呼ばれます。主人公のアリスが不思議の国でのんだ薬で、体が小さくなったり大きくなったりすることにちなんで名付けられました。

ほかにも、「シンデレラコンプレックス」や「ピーターパンシンドローム」といった名称が、心理傾向の分析に使われたこともあります。「いつか王子様が…」といった依存願望に縛られ自立できない女性像、いつまでも子どもっぽい自己中心性や無責任な逃避を繰り返す男性像などを示します。

一方、医学的な正式名称でありながらも変わった病名としては、「チョコレートのう腫」や「メープルシロップ尿症」などがあります。いずれも、特徴的な病態をわかりやすく表した病名です。チョコレートのう腫は子宮内膜症性ののう胞が卵巣にでき、その色がチョコレートに似ていることに由来します。

メープルシロップ尿症は乳幼児に発症する先天性の遺伝病で、汗や尿がメープルシロップのような匂いがすることからこの名前が付けられています。必須アミノ酸の代謝に異常があり、早期に治療を開始しないと発育障害や知的障害が起こります。新生児マススクリーニング(先天性の病気の早期発見のために公費で行われる検査)の対象です。

さらに、「もやもや病」「むずむず脚症候群」「イタイイタイ病」など、症状がそのまま病名になったものもあります。もやもや病はウイリス動脈輪閉塞症とも呼ばれ、脳血管に異常な血管網がみられる病気です。血管造影したときに血管網がもやもやとして見えることから名付けられました。

むずむず脚症候群は座ったり横になったりしているときに、じっとしていられないような不快感が起こる病気です。その不快感は「虫が這っている」「ピンでなぞられる」などと表現されます。イタイイタイ病は、過去に起こったカドミウムによる公害を原因とする病気で、聞くだけで強い痛みであることが想像できます。

日本人の発見者の名前がついた病気もあります。川崎病、橋本病、高安病などは日本の研究者がその病気の発見・解明に功績をあげ、世界に通じる名前になったものです。一方、水俣病、四日市ぜんそくなど、公害の起こった地名がついてしまったものは、社会のあり方を問う病名といえます。

このように、病気には変わった名前もの、印象に残るものが少なくありません。病名を通じて広く周知されることが健康意識の向上に結びつき、さらには病気の早期発見や難病の克服などにつながっていくことが望まれます。

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